
気になるあの人の“MYスタンダード”Vol.21 前田典子
MYスタイルを作る最愛アイテムについて聞きました!
気になるあの人の
“MYスタンダード”
Vol.21 前田典子
おしゃれにスタイルがあり、自分に似合うものを知っているファッションのプロたちに、“マイスタンダード”について取材する連載。今月はモデルの前田典子さんにお話を伺いました。

まえだのりこ●19歳でモデルデビュー。「non-no」や「MORE」などのファッション誌から始まり、CMやショーなどで幅広く活躍。25歳でパリへの遊学後、モデルで俳優の日比野玲氏と結婚し、1男の母に。その後は、等身大の女性像を描く雑誌「STORY」や「HERS」のレギュラー&カバーモデルを務める。40代からはコメンテーターやバラエティ番組にも活躍の場を広げ、現在はブランドのプロデュースやコラボ商品なども手掛けるなど、多方面で活躍している。

Vol.21
前田典子さん (モデル)
モデル歴40年。「マエノリ」の愛称で親しまれ、デビュー当時から変わらない抜群のスタイルをキープする前田典子さん。今年10月、還暦を迎えるというから驚きだ。
「20代の前半はバブル全盛期。複数のモデルさんが参加する撮影では、いつもボディコン担当でした(笑)。一方で私自身は高校時代、一大ブームを巻き起こしたサーファースタイルの影響を受けて以来、カジュアル&ヘルシーがおしゃれのモットー。地元大阪のサーフショップのパーカやデニム、ショートパンツをよく着ていました。それからDCブランドやモード系の黒ずくめの尖がったおしゃれも楽しみましたが、日に焼けた元気いっぱいなイメージの私にはしっくりこなかったみたい(笑)。その後、子育てに夢中だった30代は、動きやすいことが一番のママファッション、40代はほんのり女性らしい華の着こなし、そして50代では大好きなカジュアルに上質な素材感やジュエリーを添えてアップデートした大人カジュアルを存分に楽しみました。
でも私のスタンダードといえば、やはりカジュアル&ヘルシー。そこにそのときどきの“自分らしさ”を加えてきたように思います。これからは・・・と聞かれたら、好きなものを好きなように(笑)。そこに年齢を重ねたからこそ醸し出される貫禄やセクシーさが表現できれば最高ですね」。
NORIKO’s
STANDARD
01
シャツ
“ザ・シンプル”よりデザイン性に惹かれます
「真冬の重ね着シーズン以外、シャツをよく着ています。色は白、黒、淡いブルーなど無地がほとんど。なかでも白シャツはスタンダード中のスタンダードで、秋になったら一番に袖を通したいと思っています。いまはベーシックな形よりオーバーサイズだったり、着丈が短いものや前後差がある、ポケットが大きい、カフスが長めなど、どこかデザインされた1枚を楽しんでいます」


ブランド初のラウンドカラーは、ちょっと大きめ。1枚で着ても重ね着をしても、丸襟の柔らかで華のある襟もとが着こなしをブラッシュアップ。程よくシェイプされたエレガントなシルエットもこのブランドならでは。高密度コットンで表面が薄く毛羽立つ上質な肌触りも格別。
MADISONBLUE BIG ROUND COLLAR N.MADAME SH ¥37,400
NORIKO’s
STANDARD
02
デニム
たくさん持っているけど毎年更新は欠かさずに
「自分にとってのスタンダードはスリムですが、シルエットやウエストの位置などにトレンドが出やすいのがデニム。ちょっと違ってしまうと途端に野暮ったく見えてしまうから、トレンドには敏感でいたいですね。今の気分はワイドやフレア。春夏は薄いブルーを履いていましたが、これからの季節は濃色からブラックが履きたくなります」


脚長&腰高なハイライズデニムといえばこちら。ウエスト回りをすっきり仕上げ、ひざ下から裾にかけて広がるワイドシルエットが今どきのムードを感じさせ、1本あると着こなしが広がる。8つのサイズ展開も魅力で、腰履きできるサイズを選んでルーズなリラックス感を出すのもおすすめ。
upper hights THE NIECE ¥27,500
NORIKO’s
STANDARD
03
ジャケット
体の輪郭を整えながら、コーディネートは整えすぎず
「カジュアル好きですが、ジャケットは別物。カチッとせずにラフに着こなすのが私流です。秋になったらジャケットの襟元からレースのスタンドカラーをのぞかせる、パリジェンヌっぽい着こなしがしたくて。お気に入りはネイビーカラーで金ボタンつきのテーラード。はおるだけで体の輪郭がしっかり出て、肩やウエスト、丸くなりつつある体をシャキッと見せてくれます。いろいろな着方ができる大切な大人服ですね」

ベーシックでスポーティな紺ブレを細身のシルエット、長めの着丈と袖丈、金ボタンで洗練された1着に。深みのあるネイビーと裏地の赤がエレガントなムードを添える、大切にしたいと思えるタイムレスな仕上がり。前田さん愛用のジャケットと同ブランドでデニム、スカートとも好相性。
MADISONBLUE BLEECKER W6B BLAZER ¥132,000
NORIKO’s
STANDARD
04
ブラウス
フェミニンブラウスで引き算の甘さを
「シャツも好きですが、最近はブラウスに夢中。ボウタイ、フリル、とろみやシアーなど、女性らしいデザインや素材でも、甘くなりすぎずにカッコよく着られるものを選びます。この秋は、ジャケットとデニムに合わせた“きれいめカジュアル”が目標です」


比翼仕立てにすっきりしたスタンドカラーと立体的なパフショルダーが映えるブラウス。真夏はもちろん、秋にも重宝する接触冷感、UVカット&撥水加工の機能素材は、洗いざらしで着られてアイロンいらず。1枚で着ても華があり、ジャケットに重ねても胸もとのディテールが生きる。
suadeo バンドカラーノースリーブブラウス ¥15,400
NORIKO’s
STANDARD
05
きれいめパンツ
美シルエットのパンツがあれば!
「どちらかというとスカートよりパンツ派。普段はカジュアルなものを履きますが、センタープレスの入った落ち感のきれいなものや、脚章入りのタキシードパンツなど、履くだけで脚長に見えるシルエットを見極め選んでいます。ネイビー、グレー、ベージュなどのベーシックカラーが私のスタンダード。いざというときに信頼できるパンツを持っていることが安心につながるんです」

トレンドのワイドシルエットにセンタープレスで縦ラインを強調することで、すらっと脚長に。オールシーズン着用できるストレッチ素材やウエストの背面のゴム仕様など、きちんと感がありながら履き心地も抜群。使い勝手のいい黒とグレーの2色展開。
E by eclat 脚長ワイドタックパンツ ¥17,600
NORIKO’s
STANDARD
06
レオパード
小物で取り入れて“ちょい悪マダム風”に
「遊学していたパリやそのとき訪れたイタリアで感じたのが、素敵なマダムたちがおしゃれにレオパード柄を取り入れていること。ストールや靴、バッグなどの小物だったり、ときに全身レオパードという方も見かけましたが、みんなとにかくカッコいい。いつか私も…と思っていたのですが、ついにマイブーム到来。服で取り入れると迫力が出すぎてしまいそうなので、まずは小物から。レオパード柄のストラップシューズを、大好きなデニムや全身黒のアクセントにしたいですね」

トゥシューズをイメージしたノーズの長いフラットシューズに、レオパードプリントを施したイギリス「オズボーン&リトル」社のボア生地が足を優しく包み、履き心地抜群の1足。モード感と大人の甘さを兼ね備えた足もとが、毎日コーデのワンランク上のスパイス役に。
PIPPICHIC AMBER BALLET 5 ¥47,300
NORIKO’s
STANDARD
07
レッド
ヘルシーで元気な赤に惹かれます
「撮影や展示会巡りでとても気になったのが、赤色のアイテム。還暦が目前に迫ったからな(笑)。自分を盛り上げたいという気持ちもありますし、赤いワンピースを着ていると褒められたり、“私も着てみたい!”と声をかけられたり。赤は派手なイメージもありますが、ニットやカーディガンなど面積の小さなものなら着やすそうでしょ。そして赤を身につけた時の、元気になれる色のパワーも見逃せません」


着痩せが叶うと評判のハビプラ別注のワンピース。細番手のコットンをハイゲージに編み立てることでハリと光沢感が生まれ、Tシャツワンピでいてカジュアル感を抑えた上品な仕上がりに。サイドスリット入りのポケットつきで、ゆとりのある身幅がボディラインを拾わずスタイルアップも。
SLOANE 【HPS別注】5分袖カットソーワンピース ¥16,500
COLUMN
憧れのナンタケットバスケットを手作り

正装が求められるオフィシャルなシーンでも使われる名品、ナンタケットバスケットは、アメリカ北東部、ニューイングランドにある小島、ナンタケット島に伝わる伝統工芸品。ジャクリーン・ケネディが愛用していたという逸話のあるバスケット作りにトライしたという前田さん。
「作り方を教えてくれたのは、20代の頃から親しいモデル仲間。彼女がいつも素敵に持っているのを見て、着付けを習い始めたばかりの私は“絶対、着物に合わせたい!”と、彼女のお教室へ通うことに。初心者の私が選んだのは、蓋つきのオーバル型。先生からは“ファーストバスケットにその形を選ぶ人はいない”といわれるほど難易度の高い形でしたが、どうしても作りたくて(笑)。早く完成させたいと気持ちばかり先走りますが、最初の工程は、本体に使う素材を1本1本削ってやすりで整えることから。編み目がきれいに揃わなくて何度かやり直すうちに折れてしまったりと、それはそれは苦労しましたね。結局、完成までに1年半ほどかかってしまいました。でも苦労なんて吹っ飛んでしまうほどの達成感と、着物に合わせてお出かけした時の喜びは言葉では言い表せないくらい。それからしばらくして形違いを編み上げ、今では3つのバスケットが手もとに。ナンタケットバスケット作りは、富士山登頂やフルマラソンに似ているなと。これらは一生に一度、やるかやらないかは自分次第。そう思うと、次は何に挑戦するのかな~と楽しみになります」
取材・文/向井真樹






































