気になるあの人の“スタンダード”Vol.1 大草直子
MYスタイルを作る最愛アイテムについて聞きました!
気になるあの人の
“スタンダード”
Vol.1 大草直子
おしゃれにスタイルがあり、自分に似合うものを知っているファッションのプロたちに、“MYスタンダード”について取材する連載がスタート! 思わず手が伸びて、袖を通すたびに自分を託せる信頼感が生まれ、一生付き合っていくつもり! そんな魅力が詰まったアイテムについて、その方の視点で語っていただきます。記念すべき初回は、スタイリスト・大草直子さんの登場です。
Fashion coordinator 大草直子さん(スタイリスト)
おおくさ なおこ●ファッション誌の編集としてキャリアを積み、スタイリストに。執筆やイベント出演、商品開発やブランドのコンサルティングなど幅広く活躍。新メディア「AMARC」も好評。
Vol.1
大草直子さん (スタイリスト)
自身のことを “トラッド生まれ、カジュアル育ち”と呼ぶ大草直子さんのスタンダードは、好きなものとのつき合い方にあります。
「好きなものは変わらない。でも同じものをずっと愛し続けるのとはちょっと違って、スタンダードだからこそ時代の空気感に合わせてアップデートしたいな。なぜならマインドも自分も変わって行くものだから。その変化はおしゃれも同じで、今は“自分なりのモード服”と合わせるのが楽しくて」。
似合わないと思い込んでいたモード服と向き合うゆとりができたことで、スタンダードとの関係にも変化が。
「大人になってスタンダードのありがたみを感じるようになりました。それは逃げるという意味の安心感ではなく、着続けてきたからこその信頼感。それが土台にあるからこそ、おしゃれの体力がついてきたと思っています。おばあちゃんになってもスタンダードとのつき合いを積み重ねて行きたいですね」。
NAOKO’s
STANDARD
01
DENIM
コーディネートの軸になるデニム。1年に1度は見直しを
「とにかく忙しかった30代は、家事と育児と仕事で記憶がないくらい(笑)。でもデニムがあったおかげで毎日のスタイリングに迷わずにいられました。毎日毎日デニムを制服のように履き続けたおかげで、“デニム=大草”と思っていただけたことも大きくて。デニムにはトレンドが出やすいから、選び方ひとつで古臭くも新しくもなるんです。今もこの先も間違いなく履き続けていきたいからこそ、シルエット・素材・カラーはこまめに更新したいですね」
絶妙な太さと落ち感が魅力のストレートは、腰に落して履いているようなこなれた雰囲気を残しつつ、ウエストは程よいフィット感をキープ。脚長に見えるように設計されたパターンは、履き心地のよさも両立。スニーカーやローヒールにワンクッションさせるのにちょうどいいやや長め丈で、カジュアルにもきれいめにも着こなせます。
RED CARD TOKYO 【HPS別注】Dakota ¥25,300
NAOKO’s
STANDARD
02
LITTLE BLACK DRESS
そのときどきの“特別”に寄り添う、大人にこそ似合う一着を
「ミニマルでエフォートレスなブラックドレスは必須。解釈はいろいろですが、私はノースリーブでマキシ丈の削ぎ落されたデザインがとにかく好きで、お気に入りは10年前のものでも今も立派なスタメン。特別な位置にあるスタンダードですが、友人と食事に行く日やデートはもちろん、年に1度、ご褒美ジュエリーを買いに行く日にも必ず袖を通します。赤いリップをひと塗り、パールのネックレスをたっぷりなど、ドレスをキャンバスに見立てた意思のあるおしゃれがしたいですね」
シルクウールをたっぷり使ったモダンでエレガントなワンピース。腰の高い位置での切り替えが立体的なスカートのフォルムを作り、全方位どこから見ても絵になる美しさをキープします。袖口のスリットや首もとにあしらわれたボタン使いなど、上品でキレのあるディテールがアクセント。甘めなデザインが苦手な人にもおすすめです。
HARUNOBUMURATA ELIANA(ボタンワンピース) ¥126,500
NAOKO’s
STANDARD
03
TURTLE KNIT
週6は着るタートル。自分が安心できるベーシックカラー一択
「冬は首を隠す、隠さないで印象が大きく変わりますよね。肌の露出が極端に少ない季節に首を隠すと、逆に肌のみずみずしさがきわ立つように感じます。我が家のクローゼットにはハイゲージからローゲージまで、実にたくさんのタートルニットが出番待ち状態。顔まわりには自分が安心できる色を持ってきたいので、色はベーシックカラーオンリー。その分、合わせるボトムでどんどん遊びます。でもタートルが好きな一番の理由は、寒がりだからなんです(笑)」
カシミヤをブレンドしたオリジナルの糸で編み上げたタートルニットは、ふんわりとしたボリューム感で着映え力も抜群。サイドにスリットを入れた裾に前後差をつけ、パンツにもスカートにも合わせやすいヒップが程よく隠れる着丈に。オリジナルカラーに加え、ハピプラ別注カラーも必見です。
SLOANE ジーロンラムズ カシミヤ ドロップショルダー ¥39,600
NAOKO’s
STANDARD
04
BEAUTIFUL COLOR BOTTOM
カラーボトムで生命力をチャージすると元気になれます!
「1年を通じて、きれい色はボトムで取り入れています。春夏はさくら色やナチュラルなどのスモーキーパステルに心惹かれますが冬は一転、バキッとしたイエローやグリーンに加えて、今年はフューシャピンクにも強く惹かれて。色は生命力の象徴。若い頃は生命力が溢れているから似合わなかったのかな(笑)。残念ながら徐々に失われていくものだから、それを補う気持ちで楽しんでいます。1点取り入れるだけで、印象も気持ちも前向きなものに変わります」
ベーシックカラーと相性のいいマスタードイエローのマキシ丈スカート。上品なツヤと適度なハリのあるウール天竺をたっぷり使った動きの出るAラインで、ラップ風の大きなタックでウエストまわりをすっきり仕上げています。2ポケット付き、ウエストの後ろはゴム仕様。
COGTHEBIGSMOKE HALO SEMI-FLARE SKIRT ¥46,200
NAOKO’s
STANDARD
05
COAT
冬の印象を決めるコートは、形を絞って何着も揃えます
「コートは私の溺愛アイテム(笑)。寒いのは苦手ですが、コートを着る期間が実は5カ月近くもあることに気づいてからは、数を揃えて自分が飽きない工夫をするようになりました。例えば高価なコートを3着、大切に着ることも素敵ですが、私は適正価格のものを6枚持ちたいタイプ。そして流行に関係なく、襟付きのピーコートやチェスターコートが好きです。タートルニットとの相性がいいのも衿付きに惹かれる理由。服装に制約がない日は、まずコートを選んでコーディネートを考えます」
丸みのあるオーバーサイズに大きなグレンチェックが映えるクラシカルなコート。3色の糸をミックスしたシャギーモヘアのふわっとした素材感と大きめの衿が、大人可愛い印象に。小柄な人も着こなしやすいやや短めの着丈で、袖幅を太めに設定しているので、コート下にゆったりサイズのニットも着用可能。
CLANE SHORT SHAGGY COCOON OVER COAT ¥71,500
NAOKO’s
STANDARD
06
Pearl
普段使いからドレスアップまで、いつもパールを身近に
「ファーストパールは、成人のお祝いに母から贈られたパールのリング。以来、オーセンティックなアコヤパールのネックレスから遊びのあるデザインまで、さまざまなアイテムでパールを楽しんでいます。どのパールもじゃんじゃんつけるのが私流。背中が大きく開いたブラックドレスにはロングネックレスを後ろへ長く垂らしたり、手首にぐるぐる巻いて最後は指にはめたり。また真円とバロックを重ねづけすることも。普段はルールに囚われず自由に組み合わせています」
生きた化石と呼ばれるベルーガ(チョウザメ)の背中のフォルムをアレンジしたピアス。大粒のキャビアを連想させるアコヤパールを一列に並べてゴールドと耳で挟む遊び心たっぷりのデザインは、まるでアートピースのよう。ひとつだけでも、イヤカフと重ねづけしても横顔をモダンに彩ります。
Hirotaka Beluga Pearl Earring ¥45,100
NAOKO’s
STANDARD
07
SQUARE BAG
おしゃれバランスはカチッとした四角いバッグで整える
「バッグは小さくて四角い、“ザ・ハンドバッグ”タイプ一択です。私は体が薄いので、まるみのあるバッグを持つとバランスが悪く見えてしまって。四角くて小ぶりのバッグはコートやジャケットとの相性も良く、例えばデニムやスニーカーなどで崩した着こなしをしていても、バッグがバランスを取ってくれるんです。オールカジュアルもオールラグジュアリーも苦手な私にとって、このバッグが振り幅の目安に。定番カラーだけでなく、きれいな色もサイズが小さいので無理なく持てるんです」
クラシカルなデザインなのに新しさを感じるコンパクトサイズのミニボストン。カジュアル、きれいめ、ドレスアップとどんなシーンにも寄り添う絶妙なサイズ感も魅力です。ダブルジップで大きく開閉し、マイクロファイバースエード張りの内側は、汚れにくく荷物が見つけやすいという利点も。
VASIC Amber Mini Mini ¥41,800
NAOKO’s
STANDARD
08
BLACK LONG BOOTS
ブーツは靴というより“ボトム”。だから形違いで揃えます
「今季、注目されているトレンドの太筒タイプやニーハイを入れると、7種類くらい持っています。30代半ばで清水買いした某ブランドのジョッキーブーツは、メンテナンスしながら今も大事に履いています。共通しているのは、ファスナーがなくてすんなりと履けるデザインであること。私にとって黒のロングブーツはスカートから続くボトムなので形違い、素材違いで揃えているんです。春先まで履くし、秋はカシミヤのノースリーブに合わせるのがお気に入りです」
乗馬ブーツ用の木型を使ったストレートシルエットが、ひざ下を真っ直ぐ整えきれいに見せてくれます。取り外し可能なベルトには、キラッと輝く“土星の輪”からイメージしたシルバーバックつき。きめ細かでつややかな黒レザーには品格が漂い、パンツをブーツインしたカジュアルスタイルが洗練見えします。
PELLICO BANDA ANELLIJOCKEY BOOTS ¥148,500
COLUMN
上質な潤いと香りのオイルでお肌も心も満たされています
大草さんがお手入れにオイルを取り入れるようになったのは30代後半から。「オイルが好き過ぎて自分で作ってしまいました(笑)。構想から約4年をかけた、最新のテクノロジーとボタニカルの有効成分を配合したハイブリッドなオイルです。”Ohayo”と”Oyasumi”というネーミング通り、朝用と夜用の2本ですがバッグの中に入れて持ち歩いたり、出張などにも欠かさず持って行きます。テクスチャーも香りも、私の癒やしの元ですね」。
オイルは大草さん主宰のサイト「AMARC」で購入可能。
取材・文/向井真樹