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バイヤーが惚れ込んだブランドを徹底取材! BRAND feature 第11回 高感度な大人の女性たちに支持されるブランド「ATON」他にはないディレクターのこだわりとは?
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一度手を通したら、着心地のよさや、素材の素晴らしさに惚れ込み
リピートするファンを男女問わず確実に増やしている「ATON(エイトン)」。
ディレクター久﨑さんの、糸からの並々ならぬこだわりや、
他にはないオリジナル素材をを生み出す情熱は聞けば聞くほど、
手のかかったクオリティの高さに驚くばかりだ。
そのこだわりをロングセラーコレクションともに探る。
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2016年に『ATON』を設立。
ブランドの代名詞といえるTシャツの
『スヴィンコットン』とは?
男女問わずリピーターが多い、ブランドの代名詞であるTシャツは『スヴィンコットン』があるからできているといっても過言ではありません。スヴィンコットンは、世界で3大コットンと言われているひとつでインド原産の綿花です。
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繊維長が細く長いため、非常に希少価値が高くシルクのような艶ち肌触りがよいのが特徴です。いいコットンが採れるのはインドでも赤道に近い場所で、ウチが取引しているのは、インド南部のタミル・メードゥ州のジャグルというところにある畑です。実際にインド現地に出向いて、生産者と会いすべての工程を把握しています。生産者は家族経営で、機械でなく、手摘み綿のみを扱い、ゴミなどもすべて手で取りのぞく丁寧な仕事をしている農家です。
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機械ではなく手で摘むことで、綿花の繊維が痛まないし、摘み時かどうかわかるので綿花を無駄にすることがないんです。
一般のコットンに比べての違いは、圧倒的ななめらかさと艶感です。
手摘みの綿花は農家からさらにジーニング工場にいくわけですが、そこでも女性たちがすべて手作業でゴミは取りのぞきます。
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ここまでを手作業でするか否かで値段が3倍ぐらい変わりますが、手作業はATONで使うスヴィンコットンの命の部分です。さらにスヴィンコットンをときほぐし、細く長いものだけを選りすぐります。日本酒の大吟醸を作る時の研磨したお米のような感じでしょうか。
そして同じスヴィンコットンの糸でも、束ね方、よじり方、空気の入り方で、糸のニュアンスが変わります。着ていくうちに馴染むもの、いくら洗っても風合いが残るもの。同じコットンでも糸のブレンドの仕方で素材を見極めるのもATONのこだわりです。配合バランスを研究してそれぞれの製品が誕生します。
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作りたいデザインから
逆算するものもあります。
人気のフーディのスウェットは、まずフードが立つこと、横からみたときに可愛く三角に見えるものが作りたかったんです。それには生地の密度が重要で、普通の高密度のスウェットが80だとするとATONの高密度はほぼ100。さらに製品染めすることで、密度をよりぎゅっとさせています。時間のかかる非効率な生産ですが、フードを立ちあがらせることが大事だったんです。
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生地に加えてこだわったのは袖口の三角形のディテールです。袖口と腕の生地が重なり合う箇所ってゴロゴロして最初にへたりますよね。それがストレスで解消したかったんです。リブがあたらないようにトライアングルに設計して、袖口のストレスがないようにデザインしました。胸に入れた小さなAの刺繍も可愛いでしょう?
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スウェットの定番は白と黒。
シーズンカラーはすべて
ボタニカル染め。
定番は白と黒ですが、シーズンで出すカラーはどれもボタニカル染めをしています。2022春夏でしたら、ピンクはアンスリウム、グレーはライチを使っています。通常植物染めはなかなか鮮やかな色がでないのですが、日本ならではの堅牢度だと高い、鮮やかな色かつ色落ちしないボタニカル染めの技術を取り込んでいます。
クチュールのパターン×ナイロン素材×手染めで
作りたかったもの
オートクチュールのパターンでシルク素材を使わず、スポーツ素材でATONらしいコレクションが作りたかったんです。スポーツ素材は着やすく皺にならないし軽くて楽。だからエレガントなラインにナイロン素材を使いたく、かなり長い間をかけて開発しました。
これはイタリアの生地メーカーで織られたナイロン素材を使い、京都の西陣にある染色工場で本物の墨を使い染色してもらっています。
京都の染色は流れている水がきれいだから、美しさも違います。
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そしてこの人気のシワ加工スカートは、名古屋の伝統工芸である鳴海絞りという、絞り染めの工房にお願いしてナチュラルなシワを追求しました。
絞り染めを専門に行っているので、横から見ると生地の表面に絞りの着物のような凹凸を残しながら仕上げることができるんです。こういったシワ加工は、通常機械でしているところが多いのですが、薄い素材なので機械で作ると、大きなシワが多くなってしまい、ナチュラル雰囲気が出せないんです。ナイロンなので90度を超えると繊維はこわれてしまいますからね。
生地を手染めができる長さにカットして、職人さんの手で引っ張り合いながら染めていきます。生地が長いとできない作業です。
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色々実験しましたが、やはり手絞りだからこそのナチュラルな味わいのシワに仕上がりました。最初は職人さんに、ナイロンでなんてできないと嫌がられましたけど(笑)。ただ、もうこの技術は瀕死の状態でして、なんとか残ってほしいと願います。
名品トレンチに隠された物語
トレンチコートは各社さんこだわりを持って作られていると思いますが、ATONのトレンチコートは、デザイン的にはいたってオーセンティックだと思います。
これはいわゆるトレンチ素材ではなく『ウエストポイント』という素材で、アメリカの陸軍士官学校で着られていた制服に由来にしたもので、岡山県の倉敷紡績の素材を復刻したものです。戦後、アメリカのマッカーサー元帥が昭和天皇と一緒に写っていた写真で着用していたものと同じなんです。その生地を岡山の博物館で見せていただき、レシピを研究し、ウエストポイントの肉感があるのに艶感もある素材を蘇らせました。カルフォルニアで厳選された綿花だけを使用し、静岡県浜松市の機屋でシャトル織り機で織り上げたATONのオリジナル素材です。満足いくまでに2〜3年はかかりました。ブランドスタート時からのロングセラーですが、この生地を作ってくれる紡績会社も今や3代目です。
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A(あ)からN(ん)までのATON
ATONというブランド名は、A to N“あ”から“ん”までを意味します。生まれてから墓場まで、原材料から仕上がりに至るまで生産者の方たちとも密なコミュニケーションを大切に、生産背景もきちんとわかるモノづくりにこだわっています。
そして新製品ができても、耐久性や経年変化をみるために何年も着続けることもあり、世に出すまでにとても時間がかかります。
だからでしょうか。一度着ていただけると、ほとんどのお客様が同じものをリピートしてくださる。それは本当にありがたいことで、ブランドとしての誇りでもあります。
ディレクター/久﨑康晴さん
1969年大阪府出身。国内の様々なアパレルブランドのディレクターを経て、2016年秋冬シーズンから「ATON」を設立。ベーシックかつユニセックスなデザインと他にはない素材への並々ならぬこだわりが一目置かれる存在に。「ATONを一度着たらリピート確実」と男女問わず感度の良い人たちに指示されている。