バイヤーが惚れ込んだブランドを徹底取材! BRAND feature 第3回「upper hights」きれいめヴィンテージ感デニム
バイヤーたちが惚れ込んだブランドを徹底取材するブランドフューチャ第3回は、他にはないきれい色のブラックデニムで、デニム女子のハートをがっつり掴んだ“upper hights”その人気アイテムの誕生秘話と、ものづくりへのこだわりを upper hights MDチーム に語っていただきました。
そもそもブラック系デニムを最初に始めた理由は?
ヴィンテージ感がありながら、きれいなブラックデニムって今までなかったんですね。通常よくあるブラックデニムの場合、表面の色を抜く手法ってあまりやっていないんですよ。色を薄くしたい場合、窯の中に薬品を入れて、洗濯機でぐるぐる回し、薄いグレーを作っていくという手法がほとんどなのですが、アッパーハイツではインディゴデニムで、表面の色を抜く手法をすでにやっていたので、ブラックでもやってみよう!ということに。そうすれば今までにないブラックデニムの表情が出るんじゃないかな、と思ったんです。黒の染料って薬品に反応し、色が変わりやすいので、その手法はタブー視されていたんですが、職人さんになんとかお願いして(笑)。やってみたらうまくいったんです。それでこのデニムが誕生したんですよ。
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途方もなく長い工程から生まれたブラックデニムの色合い
元々はまっ黒のデニム生地ですが、先程お話した手法で、1本1本手作業で色を脱いているので、濃いところと薄いところのコントラストが出てきます。通常こういう色を作る場合、ベースの色を薄くしてから作ることがほとんど。でもアッパーハイツでは、ベースは濃く残して、表面だけ薄く色を落とします。それによって、陰影が生まれ、視覚的に立体感が出ることでフラットにならないものづくりにこだわっています。ですので、加工のコストがかかってしまうのですが、他ブランドさんであまりされない手法ゆえに、唯一無二の風合いも生まれるのです。
そして最初に誕生したのが売れ筋No.1カラーの“シルバー”
で、はじめに出来上がったのがこちらの“シルバー”です。これが出たとき、インパクトのある名前にしたいなと思って。グレーなどのわかりやすい名前だと、あまり響かないと思い、シルバーグレーからヒントを得て、あえてシルバーと名付けました。
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素材へのこだわりポイントは?
アッパーハイツはデニム好きの方にも履いていただきたいブランドだから、あえて綿100%の商品も展開しています。デニム好きな人って、ストレッチが入っていない硬い素材で少し締めつけ感がある方が好き、という人が多いんですね。ゆえに生地は地厚なので、身体の線をひろわず、補正効果もあります。柔らかい生地ですと、身体のラインを拾いやすいのですが、生地が厚いと反発力が加わるので、補正効果が高まります。そういうこともあって、あまり薄い生地は使わないようにしています。
売れ筋のモデルは?
人気なのは“リップスティック”と“ステラ”ですね。“リップスティック”はいわゆる美脚系シルエットです。この手の形ってストレッチ入りが多いのですが、あえて綿100%で。でも窮屈に感じると思うので、どうやったらこの形で売るようにしたらよいかな、と閃いたのがネーミングです。お陰様でかなり反響がありました。綿100%好きのお客様にとっては、綿100%の美脚系シルエットが他になかったこともあり、非常にウケましたね。“ステラ”はボーイズタイプです。トレンドを意識した深いストレートです。
モデルに関しては全部で5〜6型ぐらい。定番とシーズンごとに新型が2、3つほど加わっていく感じです。他のブランドさんに比べて、色のバリエーションが多いのが特徴ですね。
そして“シルバー”の次に登場したのが“プラチナ”
そして次に登場したのが“プラチナ”です。ぜんぜんプラチナ色ではないですが(笑)。最初がシルバーだったので、金属系の名前にしたくて。ベースの色は、“シルバー”より若干濃いです。こちらも“シルバー”ほどは、完成までに時間がかからなかったですが、それでもサンプルは3〜4回つくっています。ヒゲ部分のメリハリが最初は強かったので、色の出方のバランスを調整したりしました。メリハリを出す方が実は簡単なんです、強くこすればいいので。でも僕らの注文って、グラデを出してほしいとか、10%弱くしてほしいとか、細かい注文を色々して、それを職人さんが実現してくれるのです。
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製作するのは日本にある3つの工場
日本のデニム工場って、みなさん老舗ブランドのデニムをずっとやってきただけあって、ヴィンテージ色が強いんですね。男っぽいというか。わりと癖があるので、それを都会的に仕上げるのかを、じっくり職人さんとお話し、1本のデニムをつくるのに1年以上かかりました。そういった熟練の職人さんがいらっしゃる工場って古着の加工感が得意なのですが、女性ってそういうの嫌がる人が多いじゃないですか(笑)。なので、それをどう消していくのか、先入観にとらわれない若い職人さんたちと一緒に考えて作り上げています。 ニュアンスを出すために行うピン打ちも、だいたい5〜10本ぐらいなのですが、こちらでは通常の3倍、30本ぐらい入れています。 こちらのリクエストもその都度言って、職人さんと話しながら作りあげていくんですが、僕はその作業が大好きなんです。
きれいめデニムのこだわりがディテールにも
リベット部分もなるべくきれいに仕上げたいので、後付にしています。先に付けた方が縫製工場でしてくれるので、コストが安く済むんですが、あえてクリーンにしたいので、後付にしています。
そして3つ目に登場したのが“ブラックダイヤ”
そしてブラック3兄弟の最後が“ブラックダイヤ”です。ほとんど洗っていないパリパリの生デニムの状態で、ベースの色を濃く残し、洗濯機でのブリーチはしていません。すべて手作業で、表面の色落ちだけ施す手法を採用しました。生地は“シルバー”、“プラチナ”と同じですが、色を落とす時間が異なります。
他にはないカラーデニムへの情熱
カラーデニムってだいたいがトレンドカラーで作るので、そのシーズンが終わると履かなくなってしまうんですね。でも僕たちは年中履けるカラーデニムを作りたかったので、コーディネートしやすいブラウン系がつくりたいと思いました。こちらのデニムは、ベースがグレージュの生地。グレージュって女性が好きじゃないですか、響きも。でも、グレージュみたいなニュアンスカラーってデニムの生地屋さんってやったことがなかったようで、色出しも5〜6回やり、完成までに1年ぐらいかかりました。カラーデニムは薬品により変色が出てしまうため、ユーズドした後にどれだけきれいな色になる計算をしないといけません。そのためここまで色にこだわったブランドは他にない、と生地屋さんに言われました。でも僕らはワンシーズンでは終わらない、定番になるカラーデニムに命を掛けてみたくって。僕も今日履いていますが、コーディネートしやすくて、こなれ感も出ます。デニムというより、きれいめなパンツですよね。これはエタンというカラー名にしました。次の秋冬にはブロンズも登場します。このトーンでは、グリアスファルト、エタン、ブロンズが、グレージュ3兄弟になります。
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※グリアスファルト、ブロンズ は まもなくリリース予定
色の名前はどれも印象的で可愛い!
女性受けを狙っていて(笑)。百貨店で言われたのですが、色の名前指名で買いに来る方が多くて、そういうのは初めてだと。形ではなくて色。指名した色の中から形を選んで買う人が多いそうです。それは今までにない現象だと言われました。
人気急上昇なのがオーバーサイズのGジャン
デニム以外に最近人気なのがこちらのオーバーサイズのジージャンです。3〜4年前にも流行りましたが、当時はほとんど売れなかったんですね。若い人たちはけっこう着ていましたが、年齢高めの人はどう着ていいのかわからない、という声も多かったのですが、抜き襟のシャツなどで着崩すことに最近抵抗がなくなってきたようで、時代とリンクしたんだと思います。
Gジャンって大概、リーバイスのファースト、セカンド、サードというモデルからフューチャーすることが多いのですが、こちらもファーストとセカンドをミックスし、現代風にアレンジしたデザインです。肩の下のところをあえてバイヤスにして表情を変えたり、ピン打ちという手法で波のような立体感を出したり、ディテールに工夫を施しています。
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デニムに次ぐヒット商品はTシャツ
トータルブランドなので、洋服もやっていますが、中でも人気なのがTシャツです。毎回4色ぐらいだして、あいさつシリーズというロゴTも人気です。最近の傾向として、ロゴは小ぶりな方が人気ですね。
※Tシャツは まもなくリリース予定
素材は風合いと着心地にこだわる
もともと弊社ゲストリストはインポート商材の取り扱いが多かったのでTシャツの風合いにはこだわりがあります。まず、日本のTシャツの作り方と考え方がまったく異なります。日本のTシャツは、いかにきれいに作るかがポイントで、素材もビシっときれいでハリがあり、きちんと畳めることが重要なんですね。だから洗うと斜行する柔らかい生地なんてもってのほか。でも海外のTシャツってこういうものが多いんですね。着心地のよさを第一にしてるので。僕らはそういう部分に共感しているので、クタっとした素材を採用しています。あと、製品洗いしているので、乾燥機に入れても縮みにくいというのも考慮しています。ただ、生地自体はオリジナルにこだわっていません。というのはコストが高くなってしまうので、買いやすい価格帯におさえるためにもそうするのがベストだったので。
「アッパーハイツ」のこだわりは?
今の時代、モノがいいのは当たり前になっていますし、ファストファッションも高い品質なので、もうブランド力を高めていくしかないですね。ただモノがいいだけでは売れませんので。ファッション感覚の高い人にいかに支持してもらうか、を色々考えながら今後も女性をきれいに見せるよいものを作っていきたいですね。(upper hgihts MDチーム談)
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撮影/吉岡真理 文/土橋育子 構成/内山しのぶ