バイヤーが惚れ込んだブランドを徹底取材! BRAND feature 第9回 ストールだけに特化した、こだわりのブランド“アソースメレ”
HAPPY PLUS STOREでもおなじみのストールブランド“アソースメレ”。原材料から製法、デザインすべてにこだわりぬいたサスティナブルなストールは、大人の女性を虜にし続けています。そんなブランドの魅力をディレクターの大谷繭子さんにお話を伺いました。
綿と糸、希少な織機で織り上げるオリジナリテあるストール
希少な織機を使い枚数も限られている、生産背景は、以前と変わっておりません。ただ、綿から糸にする段階から、ものづくりに関わり、それぞれの綿の特性にあったものをつくっています。ストールって形は変わりませんよね?ですから、素材や色出しにこだわりたいんです。カリっとしているとか、やわらかいとか、薄いけどボリュームあるとか、大人の女性たちはそういった繊細な部分を気にされると思いますので、綿の段階からものづくりをしていかないと実現しないことがわかったんです。ひとつひとつの工程にこだわることで、やはりなんとなく見た目も違ってきます。色々な積み重ねがあって、結果、理想のものが出来上がる、そこがブランドのコンセプトにもなっています。
“アソースメレ”らしい色のこだわり
ストールなので顔映りは一番気をつけています。だからベーシックなベージュやグレー、カーキの中でも、日本人の肌トーンでくすんでみえるものは外しています。“アソースメレ”の色って、曖昧なニュアンスカラーなんです。糸を一色でなく、二色で織ることで曖昧な色を作っています。その方が日本人の黄みがかった肌にしっくりハマるんです。
デザインや形での変としては、大判のものが増えました。糸の太さを調節し、大きくても軽く仕上げるように工夫しています。
秋冬コレクションから、HAPPY PLUS STOREがこだわりのストールをセレクト!
秋冬コレクションの中でダントツ人気は、エクストラファインスポンジディッシュウールストールです。スポンジライクな肌触りで、弾力があり、毛布みたいで気持ちいいんです。肩がけで羽織ってポンチョ風に、コートがわりに使ってもらえる一枚です。18年FWからやっていて3年目になりますが、今回は60×240センチという大胆な大きさだからモードな雰囲気で使っていただけます。素材自体にハリがあり、巻いた部分が立ち上がるので小顔効果もあるんですよ。長さもあえて揃えずにランダムに巻くと、アレンジもできてかわいいんです。
織りあがった素材もかなりユニークで、オーストラリアのジロン地方の羊の毛を使っています。細い糸が特徴で、国際的な基準にも適した、正真正銘のエクストラファインウールになります。
スポンディッシュストールに、カシミアも新しく仲間入り
こちらはカシミアなのですが、あまり光沢を出さず、カジュアルに仕上げたところが特徴です。トロっとしているので、非常に巻きやすいので、こなれ感は出ますね。ウールが羽織る感覚なら、こちらは巻くタイプです。小ぶりだとコンサバ感が出てしますので、イマドキ感を出すために大判にしました。
織り方の特徴としましては、コートなどをつくっているテキスタイル工場にお願いし、ダブルフェイスのように贅沢に仕上げています。
キャメルにアルパカ、サイズとフリンジで表現するモード感
こちらのベビーキャメルフリンジストールは、寒暖差の大きい内モンゴル自治区で育ったベビーキャメルを使用しています。100頭に一頭しかいない希少なふたこぶラクダの毛だから、キャメル色はそのままの無染色で、グレーは、ブリーチしたものを綿の状態から染めています。染色すればするほど、素材が硬くなるので、無染色のキャメルの方がより柔らかくなっています。
表面の仕上げは、コートでよく使われるビーバー仕上げ。愛知県の一宮市にある工場に無理矢理お願いして(笑)やってもらっています。
人工スエードの長めのフリンジをつけています。サスティナブルな観点で、現在はリアルスエードより人工スエードの方が今は主流なんですよ。
巻き方は、よりコートっぽく巻けるのが特徴です。
フリンジと素材で表現するエアリー感
こちらはアルパカの中でも2%程しか採れないペルー産のアルパカのみを使った、ベビーアルパカルーズツイストストールです。比較的薄手なのでたっぷりの70センチ幅にしています。今リアルファーがNGなので、表面をファーライクな質感に仕上げ、シャギー感を出しました。今のファッショントレンド傾向として、皆さん柄物よりも無地をお召になる方が多いですよね? そういう場合は、素材の持つ風合いや凹凸感が重要になってくるので、その辺りを意識しています。
アルパカとキャメルの素材感は比較的近いのですが、アルパカの方が毛自体が細いのでより柔らかい印象です。
大人がさらっと巻ける軽い一枚
ライトウールフリンジストールは、素材は同じく希少なペルー産のベビーアルパカを使っています。ただ、ニット用に紡績した糸なので太さがしっかりしています。ボリュームと軽さを出すために、低速のシャトル織機で平織りに近い綾織なので、メッシュ状で軽やかに仕上がっています。糸自体にも透明感があり、織り方も透け感があるので、よりクリアな印象です。
オーストラリアの無農薬の牧草地に放牧状態で育った羊の毛を使っています。ストレスがなく、のびのび育つことで、繊維も長く、カシミア級のふわふわな毛になります。結局羊も人間と同じなんです。紙はたんぱく質でできているのでストレスは大敵です。色は、オートミール、ライトグレー、黒。黒以外は染めていません。織り方は、平織りで薄いのでコンパクトに巻いていただくことができます。
2021春夏はリネーチャーをテーマにしたストール作り
HAPPY PLUS STOREで、12月頭から入荷予定の春夏コレクションは、“リネイチャー”をテーマに自然界にある色を出しています。以前はヴィヴィッドな色などもありましたが、より自然界を意識したカラートーンをテーマに揃えています。無染色で使えるものはそのまま使うようにしてなるべく手法も色も自然にしています。もちろん、差し色的な明るい色もありますが、ナチュラルな色になじむ色ばかりです。
2年前に登場し、アソースメレのアイコンになっているリネンのストールも変化しました。人工的なものより天然の素材で、オーガニックなリネンを中心にしています。リネンも種類が増えまして、フランダースリネンやフレンチリネン。そのほかにオーガニックコットンなども仲間入りしました。あとはナチュラルダイという天然の染料で染めているものなど。今まで以上にサスティナブルなものになっています。お客様の意識もそうなってきていますよね。
豊富な種類のリネンストール。それぞれの違い
フランダースリネンは、ソフトでウールやカシミアライクなのですが、ベルギーリネンはドライ感があり、カリっとした感じで涼し気なタッチなんです。同じリネンでも産地や土壌が違うと食べ物と同じで、持ち味が違います。例えばトマトでも産地が違えば調理法が変わりますよね? それと同じでその原料の持ち味を生かしたものづくりをしています。
オーガニックリネンは、複数の産地から。なぜなら一箇所だけですと供給が満足いかないんです。ヨーロッパ、国内、など3箇所ぐらいから、ブレンド米みたいにして使っています。もちろんすべてトレーサビリティは取れているもののみを使用しています
地球環境を考えた新しい素材
衣料用のヘンプも注目しています。ヘンプは無農薬で育ち1年草なので、地球にも優しく、環境にもいいんです。抗菌性もあるので、今の時代にもぴったりです。糸自体に光沢があるので、白のストールを作っても包帯っぽくならず素敵なんです。
12月入荷予定の2021春夏のイシオシカラーは?
ブラウンです! 美味しそうなカフェモカ色。あとはベージュカーキです。パリの展示会に持っていったところ、パリマダムにも「こういう色のストールってないわね」と評判でした。
くるりと巻いたり、肩から羽織るだけで、いつものスタイリングに変化をもたらすストールはお洒落の名脇役。バリエーション豊かな色、素材の中から自分だけの一枚を探すのも楽しいですよ!
春夏秋冬、一年中お洒落に寄り添うストール
ストールの巻いた感じがかわいい、を常に考えてデザインしています。今後もワードローブに寄り添うようなものを中心にしたく、白、黒、ベージュ、ブラウン系に寄り添える色を揃えています。今は、締め付けないリラックス感のあるファッションが主流なので、素材や色で表現したいです。気負わなく、気づいたらそばにいた的な存在でありたいですね。
撮影/田中駿伍 文/土橋育子 構成/内山しのぶ