
昭和よりずっと遊び人の名士から愛される
Tokyoを代表する老舗「カナユニ」
おしゃれが楽しいこの季節。
お気に入りに袖を通し、秋の夜長を大切な人と分かち合いたい気分になります。
青山にて新たなスタートを切った伝説の老舗フレンチレストラン「カナユニ」は、知る人ぞ知るオトナの秘密の隠れ家。
1966年に赤坂でオープンして以来、昭和の名士達が夜な夜な集ったレストランが、ビル解体に伴い移転。
創業者の二代目が店主となって青山で新たにオープンしたのが2018年2月のこと。
かつては三島由紀夫も常連だったこちらは、スイスで出会ったビーフシチューとスモークサーモンに魅せられたオーナーの横田氏が28歳で創業。
レストランのおもてなしについてイチから師事したのは、立教大学の先輩であった前・万平ホテル社長だったそうな。
私も夏になると小さな頃から毎年訪れた大好きな軽井沢万平ホテル。小ぢんまりと、でも温かく丁寧な万平ホテルのホスピタリティ溢れる空気と同じ香りが漂うのです。
お客様が心地よく過ごすことをファーストプライオリティに置いている、そういう空間。
シェフが前面に出てくる最近のレストランとはまるで異なる、主役はゲスト、な心意気を感じます。
大人がオトナの時間を豊かに過ごすための
「カナユニ」は、完全に男性の世界が繰り広げられるオトコのためのレストラン。
だから、できれば女性同士ではなく、男性にエスコートされてうかがいたいお店。
旦那様でも男友達でもいい。なんとなく声を潜めながら、静かな会話とお食事を楽しむのがお似合い。ちょっと素敵なワンピースでも着て。
この日にいただいたのは、まずは前菜に名物ビーフタルタル。
そして定番エスカルゴ。
目の前で薬味を混ぜてワゴンサーブしてくれるビーフタルタルは、昭和の良き薫り漂うスタイル。
薄いトーストと一緒に頂きながら、熱々のオニオングラタンスープが来るのを待つ。
ここでお腹いっぱいになりたくないからオニオングラタンスープはひとつをふたつに分けてもらって。
懐かしく奥深いスープのお味に、しみじみと美味しさを感じる。
少量でもお腹がふわぁっと温かくなって満ち足りた気持ち。
さて、メインは牛フィレ肉のオーブン焼きマデラソース。
このソースが、何というか官能的な深い夜を思わせる味わい。
アルコールに弱い私でも赤ワインと一緒に頂きたくなってしまう。アルコールなしでは寂しすぎる。完成しない感じ。
そして最後はビーフピラフ。
シソとお醤油がアクセントで、キャンティのビーフピラフよりあっさり和風。私はどちらも大好き。
お腹に余裕があれば、ベシャメルソースが夢のように美味しい小エビのグラタンも。
これはご飯が入ったドリアスタイルなのでかなりお腹がfullになるご覚悟で。
欠かせないデザートは、裏メニューのクレープシュゼットを。
今や、目の前でフランベするデザートを出してくれるお店なんてなかなかない。
2代目店主横田さんがゲストの前で仕上げる、そのプロセスからすでにデザートの味わいは始まっていて、バターやオレンジキュラソー、コワントローの香り、そして炎の様子もご馳走。
あ、三色ババロワもこちらのシグネチャーです。
なぜか酔っていなくても酔ったような気持ちに引っ張られるレストラン。
生バンドも昭和そのままに入っていて、ジャズの日もあればボサノバの日も。
そういえばこちらは、深夜メニューと称して、おかゆや稲庭風そばなんかもあって22時以降のお楽しみ。
店名そのまま、かなりユニーク!
わがままなゲストのリクエストに応える、どこまでも自由なTokyoスタイルのレストラン。
ここはキャンティやアッピアと並んで、一生大好きで永く永く通いたいお店です。
DATA
[店名]カナユニ
[住所]東京都港区南青山4-1-15アルテカ ベルテプラザB1
[電話]03-3404-4776
[営業時間]17時〜24時
[定休日]日曜・祝日
*ミュージックチャージ別途¥2,000〜2,500
Article By Maiko Takeda
フリーランス・ファッションエディター
大学在学中よりファッション雑誌の編集者としてキャリアをスタート。以降、女性誌はもとより、メンズファッション誌やゴルフファッション誌、ウエディングやファッションブランドのカタログ作成など幅広く活躍。ゴルフ、ハワイ旅、歌舞伎鑑賞、ドライブ、料理など、趣味を生かしたカルチャーなページ作りにも定評あり。
Instagram → @maikotakedaogawa
