トレンドがわかる、買える!大人のためのコマースメディア
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持つべきものは大きなバッグ 小島慶子

お正月はタスマニアに行ってきました、と前回も書いたのですが、今オーストラリアは森林火災に苦しんでおり、観光産業もお客さんが遠のきがち。だからこそ、火災の被害の及んでいない地域を訪れるのは復興支援にもなります。

オーストラリア政府観光局のサイトでは、安全な地域がどこかわかるようになっているのでぜひ参考になさってください。

広大な国土の多くの場所は、今回の南東部の森林火災の影響は及んでおらず、豊かな自然が広がっています。

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これがロニー・クリークの湿原。絶景です!

ハート型をしたタスマニア島の北の方、中央部の西寄りに、1500メートルを超えるクレイドル・マウンテンという美しい岩山があります。

周囲には美しい湿原や絶景の望めるトレッキングコースがたくさんあり、初心者から上級者まで自然の中の散策を楽しめます。

訪れた人はビジターセンターのある駐車場に車を止めて、その先は巡回バスに乗り込み、各々の目的地で降りる仕組みです。

一帯は真夏だというのにダウンジャケットを着込むほど寒く、風もあるので真冬仕様。

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完全真冬仕様!

私はDUVETICAのロングダウンとマフラーで向かいましたが、あまりの風の冷たさにビジターセンターでニット帽と手袋を購入。

ショップには、麓からうっかりTシャツビーサンで来てしまった人たちのために、防寒具が各種取り揃えてあります。

一つの島の中に真夏と真冬の気候が同居しているなんて、面白いですよね。

乾燥した東側と違って、クレイドル・マウンテンのある西側は湿潤で、年間降雨量が3000ミリにもなるそうです。

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これがクレイドル・マウンテン。山頂は雲の中です。

涼しいレインフォレストが鬱蒼と茂り、苔が地面を覆って、それは美しいのです。

宿泊したのはクレイドルマウンテン国立公園の中にあるコテージ。

部屋ではガス暖炉をつけ、森を見ながらジャクジーに浸かることができます。

ここを早朝に出て、朝一番のバスに乗り、ロニー・クリークという停留所で下車。

苔に覆われた平原をせせらぎが縦横無尽に流れる中、山頂を間近に望む湖を目指して歩き始めます。

湿原の中に伸びるボードウォークを辿る気持ちの良いコースです。

よく見ると足元に何かの巣穴らしきものがいっぱい。

フンもたくさん落ちています。そう、ここには野生のウォンバットがたくさん住んでいるのです。

朝一番のバスに乗ったのは、夜行性の動物がまだ活動しているのを見られるかもしれないから。

朝日にキラキラと輝く湿原に目を凝らすと、愛らしい丸いお尻がトコトコと丘を登っていくのが見えました。

あっちに2頭、こっちに一頭・・・のっそりして見えるウォンバットですが、時速40キロで走ることができる案外敏捷な生き物です。

でも人間たちが危害を加えないことを知っているのか、すぐ目の前で怯えることもなくのんびりと草をもぐもぐしていました。

寒い中、頑張って起きてよかった!と思えた至福のひとときでした。

持つべきものは大きなバッグ 小島慶子
ちょっとボケてますが、朝日の中のウォンバットです。
持つべきものは大きなバッグ 小島慶子
ホテルのラウンジで転寝をしていたら寝起きを夫に撮られてしまいました

湿地帯を後にし、さらに高いところにある湖に向かって細いトレッキング道を登っていくと、日差しに照らされて気温が上昇。

マフラーを取り、手袋を取り、はて、このロングダウンをどうしたものか。背負っているのは夫に借りたパタゴニアのリュック。

これ以上はどう見ても入らないよな・・・と悩んでいたら夫が「それ、ブラックホールっていうシリーズのリュックなんだよ。絶対入るはず」と言います。

いやいやいや、いくらダウンとはいえロング丈だから!と言っても「ブラックホールなんだから入る」と譲りません。

まさかそんなと押し込んでみたら、あら不思議、本当に吸い込まれるように入っていって、見事に収まったのでした。

持つべきものは大きなバッグ 小島慶子
こちらそのPatagoniaのブラックホールシリーズのリュック。見た目はごく普通です

Tシャツにスエットの軽装になって緩やかな上りをしばらく歩き、急な岩場を抜けると視界がひらけて、お目当ての湖に出ました。

湖面の向こうにそびえる岩山の天辺が、時折雲間から顔をのぞかせます。

それまでのポカポカ陽気は吹き飛び、青空をバックにした山頂から吹き下ろす冷たい強風に波立つ湖面。

また慌てて防寒具を装着し、自然の迫力を満喫しながらの絶景を堪能しました。

激しい気温の変化にも困ることなくトレッキングを楽しめたのは、ひとえにブラックホールという名の白いリュックのおかげ。

すっかり気に入って夫から譲り受けた白ブラックホールは、これから日豪往復の頼もしいお供になります。

持つべきものは大きなバッグ 小島慶子
この背中にロングダウンが入ってます!

自然の豊かさに心底感動したタスマニア10日間の旅の話はまた追ってお伝えしますね。

さて1月半ばに日本に戻って仕事の日々が始まると、かねて懸案だった「いつもとてつもなく荷物が多くてバッグから溢れている問題」がいよいよ限界を迎えました。

パソコンやウォーターボトルや資料の本で、バッグが常に容量オーバーなのです。かと言って、なんでも吸い込む白ブラックホールを仕事の日常使いにするのもちょっと服とのバランスが微妙・・・。

悩みながらお店を見て回ったものの、なかなかこれというものがなく、絶望して思わずVIA BUS STOP東京ミッドタウン店の天井を仰いで目に入ったのが巨大な四角いバッグ。

持つべきものは大きなバッグ 小島慶子
こちらが運命のバッグ。JIL SANDERらしいシンプルで美しいフォルム。私が測ったサイズでは縦48センチ横53センチほどでした。マチはないけど驚くほどたくさん入り、ちゃんと自立します。

ピタッと壁に張り付いた黒いバッグは、マチがゼロですからぱっと見は「これおしゃれバッグなんで、もの詰め込んだりしないでね」風に見えます。

しかし、おしゃれ度さえ気にしなければ私の大荷物を飲み込んでファスナーまで閉まるんじゃ?!と凝視している私に気づいた店員さんが「それ、展示会では中にモノ入れてぐしゃっと使う感じでしたから、ガンガン荷物入れても大丈夫ですよ」と言ってくれたではありませんか。

そこで早速その日の荷物を全部詰め込んでみたところ、ファスナーを閉じてもなおあまりある上に、見た目が素敵!!

さすがJIL SANDERです。

美しい黒鞣革のシンプルなスクエアフォルムは、膨れてもなぜかサマになります。

一枚革の裏側の毛羽立ちを刈って滑らかに加工してあるので、バッグの中身に革のかけらがつくこともありません。

肩にかけられ、手で持っても私の身長なら床を擦ることもない。

「ちょっとの水なら弾くから、雨でも大丈夫です」と店員さん。こんな完璧なバッグがひっそりと壁に張り付いていたとは!

荷物が多いのって「こうしたい」「これも大事」「ああこれもやらなくちゃ」の表れだと思うんです。

でも、明らかにキャパを超えているのが見た目で分かると気持ちばかりが焦ってしまう。

そんな時、ドーンと飲み込んで納めてくれるバッグがあれば、なんだか自分の度量まで大きくなったような気がして、ちょっと余裕が生まれます。

年の初めに頼りになる相棒を二つも手に入れて、なんだか今年はバリバリやれそうだぞ!とやる気が湧いてきたのでした。


持つべきものは大きなバッグ 小島慶子

Article By Keiko Kojima

小島慶子(タレント、エッセイスト)
仕事のある日本と、家族と暮らすオーストラリアのパースを毎月往復する出稼ぎ生活。 『るるらいらい~日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)、『解縛(げばく)』(新潮社)、小説『わたしの神様』(幻冬舎)、小説『ホライズン』(文藝春秋)、新刊に『幸せな結婚』(新潮社)がある

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