
チープカシオで感じる新たな価値観
ひさびさに、一目惚れをしました。
いえ、人じゃなくてね。時計です。
SNSの記事で見かけた、ダイヤ入りカシオスタンダード。
チープカシオの愛称で知られる安価なカシオスタンダードに、あえて天然ダイヤというのがツボです。
でもって価格はちゃんと数千円なのが、また偉い。
というわけで発売と同時にゴールドとシルバーを大人買いしました。
って言っても合わせて1万円代ですけど。
こちらが大人買いした金銀姉妹
文字盤の隅っこにキラリ、天然ダイヤが!
よーく見ると表示板の上部にキラリと小さなダイヤが2粒。
もはやほとんど見えないレベルですが、それだけにたまに光を受けて存在を確認できた時の喜びはひとしおです。
(ホテルのラウンジなんかだとこんな小さな石でも比較的よく光るので、ああいうところの照明はさすがによくできていると感心しました。)
チープカシオという愛称ではあるものの細部まできっちりとよくできていて、さすが信頼のジャパンブランド。大人がつけてもいい感じの抜け感があります。
文字盤のガラスは立体的なカットになっており、ダイヤ入りだけあって通常品よりは手の込んだデザインになっている模様。
それにしても人の体とはよくできたもので、軽いカシオスタンダードばかりつけているとだんだんいつもの時計が重たく感じられるようになってきます。
それまで無意識だったのに「お、これ結構な高級品だな!」などと改めて有難みを感じて、大事にしよう・・・と思ったりして。
装飾品でも人間関係でも、同質のものばかりだとその価値自体に鈍感になってしまうのかも。
自分と同じような環境で育ち、同じような仕事をしている友人は楽に話せていいけど、そればかりだと「私たちの感覚が世間の普通」なんて誤解をしがち。
全然違う人生を歩んできて全く知らない世界で働いている友人と話すと視点を相対化できるし、自分にとっての正解なんて様々な答えの一つに過ぎないと謙虚な気持ちにもなれます。
カシオをつけているときはなんだか肩の力が抜けて、リラックスした気持ちになれるのも気に入っています。
高価な時計はそれなりに気持ちをしゃんとさせてくれていいものだけど、今日はカシオの私だと思うとなぜかちょっと解放感があるのです。
だけど一応ダイヤが入っているからちょっと特別、みたいないい塩梅です。
ブランドの時計をしていくのもなあという場所で、あまりにも無機質なものだとつまらないしと悩ましいときなんかはすごく重宝するはず。
というわけでダイヤ入りカシオスタンダードは私のジュエリーボックスの中で、
新たな価値を生み出しつつあります。
全豪オープンテニス2019 ローンチイベントにて錦織圭さんと。
来年1月、メルボルンで開催されます。
Article By Keiko Kojima
小島慶子(タレント、エッセイスト)
仕事のある日本と、家族と暮らすオーストラリアのパースを毎月往復する出稼ぎ生活。 『るるらいらい~日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)、『解縛(げばく)』(新潮社)、小説『わたしの神様』(幻冬舎)、小説『ホライズン』(文藝春秋)、新刊に『幸せな結婚』(新潮社)がある。