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ジェルネイルをお休み中の手を楽しんでいます 小島慶子

今、ほぼ20年ぶりに、爪に何も塗らない生活をしています。

なんだかまだすうすうするけど、悪くない。

以前から爪を休ませたいなと思っていたのですが、今は人との接触にも気を使う時期なので、これを機に一度素爪に戻ってみよう!と思ったのです。

こうして眺めてみると、なんだか懐かしいような。お久しぶり、と言いたくなります。自分の爪が本当はどんな色や形だったか、すっかり忘れていました。

今はいつも以上に手を洗うし、その分保湿もするので、心なしか爪の調子も良くなってきた気がします。

中学生の時に初めて指先を意識しました。母の爪は縦長で美しいのに、私は父に似て正方形に近い丸っこい形。同級生には少女漫画のような美しい手の持ち主もいて、こっそり見つめては憧れたものです。

当時はまだ、お洒落とか、まして恋愛なんてまるで意識の外だったけど、自分の体のどこかに優美な部分を見つけたかったのです。薄っぺらくてひょろ長くて、しなやかな曲線やなめらかな肌とは無縁の身体だけど、せめて指先ぐらいは、と。

初めてマニキュアを塗ったのは大学生。姉のお下がりでした。

初めてサロンに行ったのは・・・まだネイルサロンが珍しかったころ。

20代半ばにアナウンサーの仕事でネイルサロンを取材する機会があり、そのあと思い切ってプライベートで訪れたのが人生初でした。広尾のとある有名サロン。周りは素敵なマダムやおばあちゃまばかりで、ザ・富裕層という雰囲気に満ち満ちており、すっかり気後れしてしまいました。当時はとても定期的に通える値段ではなかったので、記念に一度塗ってもらって、あとは自力で頑張ったっけ。

そのあと、これまた仕事で取材したつけ爪サロンにはまりました。そう、当時はまだ美容界の革命的大発明、ジェルネイルなるものがこの世に存在していなかったのです。この付け爪は意外と長持ちで丈夫だったのですが、やがて妊娠、出産を機にネイルケアを中断。育休中は子供が寝ている隙に自分で気晴らしに塗るくらいでした。

仕事復帰と同時にネイルサロンに戻ってみると、最先端のジェルネイルなるものが登場していて、これは便利!!と感激したのでした。サロンでじーっと乾かす退屈な時間や、ペディキュアを塗ったあとに靴でよれないようにサンダルで家まで帰るような苦労が、一気になくなったのですから。

以来毎月通うのが習慣となって10年以上経ちますが、実は去年、友人がジェルネイルをやめたのです。会うたびに手入れが上達し、今やすっかりヘルシーアンドセクシーな自慢の爪に。それを見るうちに、いつかは自分もと思うようになりました。

思い出したのは20歳の頃に付き合っていた人。「マニキュアはしないでほしい。人工的だから」と。女性に清純さを求めるような物言いであまり納得がいかなかったけど、一応当時は好きだったから、素爪で通しました。今はすこし、その気持ちもわかるような気がします。20歳ぐらいって、何もしなくてもそのままで輝いてますもんね。ああ、久しぶりに思い出したなあ。元気かなあ。

ジェルネイルをお休み中の手を楽しんでいます 小島慶子
これが久々の裸の手。新鮮です。まだ爪が薄いので、しばらくは伸ばせません。

さて久々の素爪生活で、悩ましいのが引っ掻き傷です。ずっとジェルネイルをつけていたので爪が薄くなっており、少しでも伸びるとちょっとした剃刀状態に。うっかり顔を掻いたりすると傷がついてしまうのです。赤ちゃんみたいですね。

白く伸びた部分をこまめにガラスヤスリで削り、今は健康な爪が根本から伸びてくるのを心待ちにする毎日です。ピンク色の肌が透けているのを見ると、「生きてる・・・」という実感が湧いてきます。このまま養生して、しばらくしたらサロンで甘皮や凸凹の手入れをしてもらうようにしようかな。たまにマニキュアで色を楽しんだりして。

ジェルネイルをお休み中の手を楽しんでいます 小島慶子
愛用の爪やすり。ジルスチュアートの金属製ヤスリで削ってから、ガラス製のやすりで仕上げると、滑らかに。

爪の手入れは女性のものだけではありません。何度か番組でご一緒したある政治家は、いつも身嗜みがきちんとしていて、爪もピカピカに磨いてあるのです。決して派手ではなくて品があって、いつもいい背広と靴を身につけている人でした。高齢男性の手とは思えない、美しい健やかな爪だったなあ。私もあれを目指そう。

この頃は私生活ではメイクもほとんどしないし、髪型もスタイリングいらずだし、いろいろなものがどんどん楽になってきました。

とは言え爪も髪も、そのままでもきれいでいるためには、やっぱりプロによる手入れが必要。たまの養生はいいけれど、ネイルも髪もサロンでケアしてもらいながら、より自然なスタイルへとシフトしていくのがいいかもしれませんね。

ジェルネイルをお休み中の手を楽しんでいます 小島慶子
生まれて初めて、素爪でテレビに出てきました!
小島慶子  
タレント、エッセイスト
仕事のある日本と、家族と暮らすオーストラリアのパースを毎月往復する出稼ぎ生活。 『るるらいらい~日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)、『解縛(げばく)』(新潮社)、小説『わたしの神様』(幻冬舎)、小説『ホライズン』(文藝春秋)、新刊に『幸せな結婚』(新潮社)がある。