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”さん”付けで呼びあう距離感 小島慶子

名前にさん付けで呼ぶ友人はいますか?れいこさんとか、イズミさんとか。なんだか、おばあちゃんみたい?

あだ名で呼んだり、ちゃんづけで呼んだりが普通なのかな。さん付けで呼ぶ間柄は友達じゃない、と言う人もいるかもしれません。

だけど私は、結構好きです。

”さん”付けで呼びあう距離感 小島慶子
秋なので少し髪を伸ばしてみました。

初めてさん付けで呼び合う友人ができたのは25歳の時。

年上のご夫婦で、最初の出会いはお二人のお店を私が偶然訪れたことから。一緒に食事をするようになって、そのうち夫婦ぐるみの気さくなおつきあいになりました。

年上の友人に「慶子さん」と呼ばれるのは、大人になったみたいで嬉しかった。

当時の私はまだ学生気分が残っていて、周囲からは中学生の頃からのあだ名で呼ばれるか、苗字を呼び捨て。唯一「慶子」と呼ぶのは、当時付き合っていた今の夫だけでした。

10代20代の頃は、いかに友達との境目をなくすかが大事でした。他の人よりも親密で、互いに似ていて、深く理解し合った友人を作ろうとしていました。

余計な気を使わず、ちょっと雑なくらいの扱いが理想。呼び名は大事なシンボルで、なんと呼び合うかが二人の親しさを表していました。

大人の友達のいいところは、そういう一体化の儀式がいらないところ。

年齢を重ねれば仕事も私生活もみんなワケありで、踏み込まれたくないところもあるし、一線を越えたら緊張関係になることだってある。

だからちょうどいい距離を保って仲良くするべく、初めから節度ある関係づくりを心がけます。言わずともそういう関わり方のできる人だけが、自然と残っていくのです。で、気づけばみんな、名前にさん付けでした。

たかが呼び方だけど、名前に「さん」って、本当にいい距離感です。

親しみを感じるけど馴れ合いではないし、リスペクトを込められるし、いつも相手に少し譲るというか、余白を保った関係を築ける気がします。

「ちゃん」だと近すぎるし、苗字に「さん」だと遠すぎる。

これは私だけかもしれないけど、大人同士が名前に「ちゃん」づけだと、平和協定を無理やり結ばされているような、互いに頭を押さえつけ合っているような感じがしてかえって緊張してしまいます。

幼なじみでもないのに「慶子ちゃんさあ」と呼ばれたりすると、ハッと身構えてしまう。おっと車間距離を詰めてきたぞ、ここは刺激しないように大人しくしよう・・・とか。

この年になるとそれぞれに社会的な立場があり、実績もあるので、そこへのリスペクトを示す距離感は絶対に必要だと思うのです。

だからやっぱり「さん」がいい。

かなり仲良くなってからも、敬語混じりです。自分より若い人にも「さん」はいいですよね。

今になってようやく、最初に私をさん付けで呼んでくれた友人の気持ちがわかりました。

ものを作る時にはぎゅうっと締め上げず、多少の遊びが必要なように、お互いに年齢を重ね変化してもいい関係でいるには、余白が必要。それが「慶子さん」だったのですね。

日に日に寒くなる季節、人との縁を改めて大切に思う毎日です。]

”さん”付けで呼びあう距離感 小島慶子
オーストラリアの家では、また季節が巡って春となり、バラが咲きました。年末年始も戻れないかもしれず、そうなるともう1年も家族と会っていないことに!
”さん”付けで呼びあう距離感 小島慶子
ある日の衣装。CYCLASはプライベートでも愛用。
内山しのぶ  
1990年(株)世界文化社入社。『家庭画報delicious』『MISS』『MISSwedding』『きものSalon』『GOLD』の各誌の編集長を12年間経て、2016年6月から㈱集英社・ブランド事業部・コンテンツマネージャー。『GOLD』編集長時代には、料理本『編集長のお家ごはん』を出版。ファッション、美容はもちろん、ライフスタイル全般への造詣が深い。料理家として、料理教室を開き、雑誌、企業にレシピを寄稿。クシマクロビオティックコンシェルジュ、オーガニック料理ソムリエ、国際中医薬膳師、調理師免許の資格を持つ。アスリート・マーケティング所属。